Sunday, 21 November 2010

【Review】【Book】これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学


「結局のところ、誰が正しいか・何が正しいかということはその人の考えを形成してきた人であったり、文化であったり、多分運であったりによって180°変わってくる。」

だから、

「お互いの考え方・価値観は違うという事をベースに、理解を深めることが重要なんだ。」

なんてことは、生きていれば誰しも(それを意識しているか・実践しているかどうかは人それぞれだと思うけれど)たどり着くのであろう一つの考え方ではあると思う。
けれども、言うは易し行うは難し。お互いを理解することはとても難しく、結果として受容という名の妥協や無視になることも多い。

別にそれが良いとか悪いとかはないんだけれど、何か心に引っかかるものが個人的にある。
本書は今の社会で普遍的に見られる価値観や哲学の歴史やジレンマをケースに基づいて書き連ねている。考えながら読むから、読み終わるまで時間もかかるし、この本を読んで何かが解決するわけではない。
でも、この本を読むことで「考える」プロセスに新しい線が加わると思う。
そういう意味で今年出会った本の中で良書。また読み返したい。

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