そんなワケで、
最近興味深々なワーキングプア問題ですが今回読んでみたのは、
「ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る」
門倉貴史著
仮にワーキングプア(以下WP)を所定内給与で年収200万未満と仮定すると、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(2005年度版)ではその数が約547万人(男女比は2:3)にのぼり、これは調査対象の4分の1となっている。また、2006年度の調査では全体で約1023万人がWPとなっており、この事からもWPが小さな問題ではなく、極めて大きな問題であるということができる。
また、違う側面に目をやると、日本で生活保護を受けている家庭100万世帯、150万人に上ること。15歳から34歳の非正社員数 600万人がいること。派遣労働者数が約230万人いることなど、WPを生み出す様々な要素が透けて出てくる。
特に非正規雇用のWP率は極めて高く、アルバイトやパートのその9割がWPなのに加えて、派遣社員で46.2%、契約社員・嘱託で42.4%がWPに該当するという数字が出ている。
一度非正規雇用となった場合、事実としてそこから再び正規雇用になるには大きな壁があり、生涯年収の面でも約5倍の開きが出てくる。具体的な数値は以下。
標準的正社員:2億695万1711円(22歳~60歳)
短時間労働者:4692万9959円(18歳~60歳)
そんな中、この本でフォーカスがあたっている対象が2つ。
1つは中高年のWP。彼らがWPになるのは会社の倒産・リストラが主な原因となるが、中高年の場合、消費の履歴効果でWPであることの負担が非常に大きくなる。具体的に言えば養育費・住宅ローンが重く圧し掛かるのである。
40代・50代の自殺数が1万人をoverしており全自殺者の4割を占めるということにも大きく関わってくる。
また、もう一つの点として、若年層のWPも増えており問題となっている。全体的な学力が低下しているのにも関わらず、企業側の採用基準は厳しくなっているという雇用のミスマッチや、学歴による歴然とした収入の違いがその要因である。
そして、何よりも問題なのはそれが対岸の火事ではなく、WPが大量に発生することが、犯罪数の増加や少子化、また労働力を失った企業における正規雇用者の心のWP状態の発生など様々な問題に波及していくということ。
これを効果的に解決していくには、本当に包括的な政策が必要になると思う。