Review 【「現代を読み解くラブホテル人間学 欲望のマーケティング」】
「現代を読み解くラブホテル人間学 欲望のマーケティング」
亜美伊 新著
そもそもこの本に興味を持ったのは、とてもお世話になっている(といっては語弊があるが)ラブホテルというものが留学時にいた英国をはじめ、外国には全くなかった、また文化的に存在しなかったことから、日本人の精神性と強く結び付く要因がどこかにあるんじゃないかなと思ったから・・・というのは建前で、残りの9割位はただの興味心と助平心です笑
感覚的にラブホテルの話をしても、特にそれに対する特別な偏見・感情を持っているわけではありませんが、何となく世の中から偏見はあると思います。
でも、日本に男女がいる限りラブホの需要がなくなる事はない。世の中不景気でもなくならない産業は衣食住だけど、もしかしたらそれにプラスして衣食住ラブホがどんな不景気になってもなくならない産業なのかも知れない笑
この本によると、ラブホの発祥は戦後の連れ込み旅館から。そこでは、四畳半に布団一式的な簡素なものだったみたい。他の宿泊施設と区別するために「♨」マークをつけていて、これがひっくり返ったクラゲみたいだったことから、「逆さクラゲ」とも呼ばれていたとか笑
That’s trivia.
その後郊外の高速道路沿いに休憩所としてできたモーテルがラブホ的機能として使われるようになり、その後多機能型のホテルが都心部で発展、今の形にいたるとのこと。
この本で一番興味を覚えた点は、一昔前のラブホテルの方が、現在のラブホよりも売り上げが良かった事とその理由。
現在のラブホは一般的に女性に意見を反映した綺麗で快適性の高いデザインのホテルが多いと言われているらしいですが、ちょっと昔のラブホテルは非日常性や淫靡度を演出する回転ベッドやら、全体鏡張りの部屋やら、その他もろもろの奇抜なデザインが凝らしてあったと。それらがなくなったのは、女性の表層的な意見を取り上げたり、法令が変わって規制が強くなったりした事がその要因みたいですが、とりあえず売上は一見不合理な設備を合理化したことによって逆に下がってしまったと。
言い方に語弊があるかも知れませんが、
「日本人は器で食事をし、外国人はカロリーで食事をする。」
といった感じの言葉が本の中に書かれていて、これは言い得て妙だなと思いました。
日本人は直截的な悦楽よりも、少し曲がった感じを好む所は、個人的な意見ですが、確かにあると思ってるし、フィジカルよりメンタルな感じの精神性・考え方が多いと思う。
ホテルが合理的に小奇麗になってしまったことで、そこがただセックスするだけの場所になってしまい、そこにあった背徳的な悦びとか非日常性によって満たされる精神的快楽が減ってしまったという旨の事を筆者は書いていたと思います。
懐石料理がハンバーガーになってしまったみたいな感覚でしょうか笑
「食えればいいってもんじゃない。」という事だと思います。
しかしながら、機能の多寡はあれど、日常から隔離された非日常の場所といえるラブホテルが日本にしか根付いていないという事から、日本人の精神性がやはり「カロリーより器」な志向であるという事を示しているといえる。
なかなか興味深い本でした笑
Seja o primeiro a comentar
Post a Comment