Saturday, 4 July 2009

Review 【「今日、派遣をクビになった 15人の底辺労働者の実態」】

レビュー
「今日、派遣をクビになった 15人の底辺労働者の実態」
増田明利著



派遣労働者のクビ切り、そこから派生するネットカフェ難民などが問題となって久しい今日この頃。
就職活動をある程度やってみて、やっぱり世間には良くも悪くも学歴フィルターがあるし、男女差別(区別?)もあるもんだと思った。
それを踏まえてこの本のレビューを考えてみると、
一昔前まではある程度の大学に入って、ある程度の企業に入社し、そこで定年まで働くというスタイルが恒常的に景気が右上がりだった日本で一般であったし、それが最良の選択だった、またそう考えるのが妥当だったと思う。その後、一定のレールに敷かれて生きる事の窮屈さからフリーターや派遣労働者として自身の裁量で自由な時間を多様に生きる生き方に憧れる、また意図的に若しくは外的にレールから逸脱した人間のある種の落とし所の生き方としてそのような生き方も許容されているかのように見えた時期もあったと思う。

しかしながら、結局、今現実として残ったのは年収250~300万以下の貧困ラインで貧窮する人間。

欧米のキャリアステップが経験重視で大変ながらもある程度のflexibilityがあるのに対して、 日本のソレが極めて柔軟性に欠けるものだと思う。基本的にある程度のレベルの大学に行って、ある程度の企業に入り、そこで長年勤めなければ安定した収入は見込めない。転職という手段もあるが、よほど力がある人間でないとソレも難しい上に一度ドロップすると再チャレンジも半端なく難しい。
これは私見だけど、日本の企業は「●●企業の人間」というステータスを重要視する傾向があると思う。企業内でジェネラルな人材も、社外に出るとジェネラルとは言えない。良くも悪くも、入社した企業に特化した人材で、それもある意味転職を難しくしている。
新卒一括採用という他の国に比べると特異である就職システムはとても特異だと言える。

そこに個人的に疑問もあったりするけど、
とりま、そこはおいといて実際のデータの話に。

この本に載っているデータだと、派遣労働者の年齢は20~34歳で60%を占めていて、尚且つ学歴に関しては大学以上が25%程度なのに対して、中卒・高卒・高専・短大卒等で残りの75%を占めている。ついでにこの本を読んだ感触だと、大卒でのフリーターは就職活動の際に失敗して希望した就職先に入れなったことによるドロップアウト組が多いように感じる。

つまり、一度レールに乗って企業の中である程度の地位・ステータスまで来ている40歳以上の人材はリストラ等で職を失わない限りは派遣労働者になる事が少ないのに対して、現在、若年層はまず大学までは少なくとも出なければ将来ロクな収入を得られない可能性が高く、大学生に至っても、学歴フィルターがある以上、ある程度の大学に入って就職活動を有利に進めてドロップアウトしないだけの理由・環境がある企業に入らないと、そこでドロップアウト→派遣労働へのパターンが十分考えられる。

世知辛い。

いちど派遣社員になると、そこから再び正社員に這い上がることは時間が長引けば長引くほど難しくなる。また、派遣社員は正社員とは違い生活が保障されているわけでもなく、そこで行う仕事も正社員があまりやりたがらないスキルのつかない単純作業・ルーティンワークがメイン。

色々な夢を持ち、夢を追うことは人間としてとても重要な事だし、社会や国家はそれを保障するべきだと思うけれど、一方の現実として極めて・極めて厳しい現実と、それに対する「覚悟」を持つことが今とても重要なことなのだと思う。

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